要因分析の手法(上)

実務・現場
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あるべき姿と現状のギャップが問題であり、あるべき姿へと改善するためには、”なぜ?そのような問題が起きたのか?”が、分からなければ対策もできません。

対策したつもりが気付けば同じ対策を何度も繰り返している別の問題がもぐら叩きのように沸いてくる、こういったことになっている現場はとても多くありますが、そういうものだと納得してしまっているケースも多く見られます。

でも、それは対策がしっかりできていないからなのです。

今回は、きちんと再発をしないために問題の真因に迫るための手法についてまとめます。

要因分析の手法について

今回取り上げるのは、トヨタ自動車で開発された「なぜなぜ解析(5 Whys)」をベースにしたものになります。

なぜなぜと5回繰り返して原因を掘り下げていくことで真因に辿り着くというもので、今ではいろいろな書籍も出ていますし、自動車業界以外でも利用されている手法になります。

ですが、なぜなぜを5回繰り返すというところだけが頭にあって、この手法の意図が理解できていないために真因に迫れていない活動も多くなってしまっています。

ボリュームも多いので、3回くらいに分けてまとめていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

なぜなぜ分析とは

まず、ベースとしているトヨタ生産方式の「なぜなぜ分析」では、工場現場にある生産機械が故障して止まった時の「なぜ機械は止まったのか?」を例に著書でも紹介されており、特に生産現場に有効な手段であると言えます。

では、具体的に「なぜなぜ分析」とはどういったものなのか簡単に説明します。

機械が止まってしまったときに、「オーバーロードがかかって、ヒューズが切れた」としただけでは、「ではヒューズを交換して再起動する」という対策に至ります。

ですが、これは原因対策ではなくただの処置です。

そのため、すぐにまたオーバーロードがかかる状況となりヒューズが切れて、機械が止まってしまうことになりますから、オーバーロードがかかる原因を特定していくことがとても大切です。

①オーバーロードがかかって、ヒューズが切れた

 ↓

②軸受部の潤滑が十分でなかった

 ↓

③潤滑ポンプが十分汲み上げていなかった

 ↓

④ポンプの軸が摩耗していた

 ↓

⑤濾過機が付いていないため、切子が潤滑油に入っていた

大野耐一氏の著書『トヨタ生産方式』(ダイヤモンド社) より

このように5回のなぜを繰り返すことで、「では、濾過機を取り付けて切子が入り込まないように対策を取ろう!」と、真因である切子が入ってポンプの軸を痛めていたことからオーバーロードがかかった問題の解決に向けて対策を取ることができるのです。

これがトヨタ生産方式における「なぜなぜ分析」の考え方の基本となります。

なぜなぜ分析のやり方

様々な流派がありますが…

ですが、実際の現場では最初に書いたように、なぜを5回繰り返すことにこだわり、無理やりな検討をしている事例も数多く見られるなど、頭を悩ませている状況が多くあります。

かといって、インターネットや書籍で調べてみても、解釈は多種多様で、5回繰り返すんだと書いてあるものもあれば、5回は参考だというもの、別案を示すものなど色々あり、何が正しいのかよく分からないという相談も多くありました。

それでは、なぜこのように色々と多くの流派が出てきてしまったのか、そこについて整理していきたいと思います。

なぜいろいろなやり方があるのか?

私の勤める会社にもトヨタ自動車出身の方が何名もいらっしゃいますが、その人たちもそれぞれ分析の仕方や、考え方が違いました。

同じようにトヨタ自動車へ入社し、トヨタ生産方式の研修を受け、トレーニングを積み、学んできたはずの「なぜなぜ分析」手法ですが、違う理由を考えて頂きました。

所長
所長

人によって「なぜなぜ分析」の手法が微妙に違うのって何でですか?

トヨタ自動車の中でもみんな違います?

Aさん
Aさん

んー、基本的に細かくルール化されているわけではないんだ。あまりがちがちに手法を固めると柔軟性がなく、結局型にはまった問題しか解決できないからね。

だから、最初は基本的な”5回なぜなぜ繰り返す”とか、”逆読みして日本語がつながる”とかの話は聞くんだけれども、そこから徐々に部署やグループ、個人でも昇華して修練するからかな?

まぁ、かっこよく言ってみれば、「守破離」だよね。「離」まできた人たちが自身の思想を展開していることもあって、ネットや書籍でも意見が様々なんじゃないかな。

正しいやり方

と、いうことは「正しいやり方」というのは、基本的にはどの手法も正解なんですね。その人その人の業務環境では、そのやり方が正しく、実績もあり、一つの型となったものですから。

そういうわけで、そう言ってしまうと何でも試してしっくりくるもので取り組んでもらえれば良く、それを基本に、また自分自身の型を作っていくことが一番なのだと思います。

ただ、それで話が終わってしまってもいけないので、私が会社内で進めている分析手法トレーニングの中での注意点などをご紹介していこうと思います。

ちょっと区切りも良いので、続きはまた。