「リーダーシップを発揮する」とは?

企業経営理論
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「リーダーシップを発揮して、組織をまとめていくように!」

よく耳にするこの言葉、リーダーシップってどんなものかというぼんやりとしたイメージは誰もが持っていると思いますが、具体的にリーダーシップって説明を求められると難しいですよね?

人を引っ張っていく力や、まとめる力、カリスマ性などを上げる方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、このリーダーシップを研究した色々な理論を参考に、具体的にリーダーシップを発揮していく方法について整理をしていきたいと思います。

ピーター・ドラッカーの「リーダーシップ理論」

ドラッカーは「リーダーシップ理論」として、「責任」「行動」、それとコミュニケーションや誠実な人柄などにより周囲の「信頼」を得て認められるものだと提唱しました。

①リーダーシップは生まれ持った資質ではなく「行動」である

目標・基準・優先順位などを定めるとともに、維持・行動をするのがリーダー

②リーダーシップは地位や特権ではなく「責任」である

リーダーとして、スタッフの行動を支援しながら、責任を持つことが必要

③リーダーシップは「信頼」である

リーダーとしての責任を持つことで、信頼が得られ、スタッフが付き従う

フレンチとレイブンの「5 forms of power」

社会的勢力に関する研究として提唱された理論です。

マネージャーの主な役割は、部下をマネジメント(統括、管理、育成)することとし、5つの社会的勢力の中の1つか複数のパワーを組み合わせて任務を遂行するものだとしています。

強制勢力:相手に対して”罰”を与える力を持つ者が及ぼす力

報酬勢力:相手に対して”報酬”を与える力を持つ者が及ぼす力

正当勢力:「この人の意見を聞くことが正しい」とされるような立場にある者が及ぼす力

準拠勢力:「この人のようになりたい」と思われるような者が及ぼす力

専門勢力:ある事柄に対するスペシャリストである者が及ぼす力

のちに、レイブンは”情報勢力”を追加しています。

情報勢力:特定の人しか知らない情報を持っていたり、発信するような者が及ぼす力

マネージャーはこれらの社会的勢力を”意図的に”組み合わせて使い、管理をするものだとするのに対して、リーダーは主に準拠勢力と専門勢力を(無意識的な場合も含めて)使っているとしています。

ですから、リーダーはマネージャーではないですが、マネージャーはリーダーにも成り得るということになります。

セルズニックの「制度理論」

組織における目的達成に向けて、組織内のメンバーに働きかけ、個人の目標と組織の目標とを一致させることが必要であり、その過程においてリーダーシップが発揮される機能として、以下の3つが挙げられます

  1. 状況診断機能
  2. 目標遂行・達成機能
  3. 集団維持機能

この組織におけるリーダーシップに関して、アメリカの社会学者であるセルズニックは、”制度”という概念を用いて理論化し、その制度化に主体的にかかわるリーダーシップの重要性として、管理者が行うべき業務を以下のように提唱しています。

1.制度による目的の体現

”組織は社会的価値を取り込み制度となる”と、主張され、この制度化の過程で取り込む価値によっては、ネガティブな影響も受けてしまいます。

そのため、社会的価値の方向性を組織内のメンバーへ指示し、組織目的の体現をさせることが必要です。

2.制度の一貫性の防衛

組織目的(価値)と個人の目的(価値)にズレが生じては、制度が分断化されてしまいます。

そのため、1.で示した目的の共有化や権限委譲といった方法を使い、制度の一貫性を保つようにします。

3.内部葛藤(コンフリクト)の整理

制度の分断化は、組織内部の個人間の目的(価値)のズレによっても生じます

そのため、”集団的な報酬制度””組織構造のフラット化””コミュニケーション向上”による制度維持に努めるようにします。

リーダーシップの行動論

ドラッカーも提唱しているように、責任感のある行動力、それとコミュニケーションや誠実な人柄などにより周囲の信頼を得てリーダーとして認められるものであり、リーダーシップは個人の資質や能力ではなく、行動によって発揮がされるものです。

このような「リーダーがどのように行動すれば、リーダーシップが発揮されるか?」にフォーカスした観点で様々な研究が行われています。

クルト・レヴィンのアイオワ実験

米国の社会心理学者クルト・レヴィンは、アイオワ大学で学生たちを被験者として、以下の3つにリーダーシップを分類し、「課題の成果」と「メンバーの満足度」に対する効果を研究しました。

独裁型(専従型)リーダーシップ:決定は全てがリーダーが行う

放任型(自由型)リーダーシップ:リーダーは決定にほとんど関与しない→実質上、リーダーシップの放棄

民主型リーダーシップ:組織メンバーと一緒になって決定をしていく

そして、3つ目の民主型リーダーシップが一番有効であることが証明されています。

シャートルのオハイオ実験

米国の心理学者シャートルによって、リーダーの行動を図るための尺度が研究されました。

この研究により、リーダーの多くの行動は最終的に、「構造づくり」と、「配慮」に集約されることを明らかにしています。

構造づくり:組織目的の達成に向けた組織の基盤、体制や管理を徹底すること

配慮:組織内の人間関係の構築、維持やコンフリクトの解消などへの対応をとること

リッカートのミシガン研究

ミシガン大学にて社会調査研究所長のリッカートらが、生保会社のフロントマネージャーに対して行った調査研究です。

より優れた業績をアウトプットする集団と、より低い業績の集団との間で、リーダーの行動やメンバーの比較による研究が行われました。

その結果、好業績の集団と低業績の集団でのリーダー行動が異なることが明らかにされています。

好業績のリーダー行動:目標達成するための管理を行い、組織メンバーへの配慮を行う … 配慮型

低業績のリーダー行動:生産性向上に向けた圧力をかけようとし、仕事を任せきれない … 独裁型

そして、この結果をもとにして、リーダーシップを4つのシステムに分類しました。

また、リッカートは連結ピンモデルを提唱し、リーダーやマネージャーにはこの連結ピンとしての役割が求められるとしています。

企業における連結ピンとは、経営層と現場の間に入って取りまとめを行う中間管理職のように、組織や人の間で有効に結び付ける役割を指します。

ブレークとムートンのマネジリアル・グリッド理論

1961年にブレークとムートンによって提唱された理論です。

リーダーシップを「人にへの関心」と、「業績への関心」の2軸、9段階の格子(グリッド)に分類した理論となっています。

1.1型:消極型

組織メンバーにも業績にも関心がない状態

自分に与えられた仕事(実務)のみを行いますから、リーダーシップを放棄したリーダーと言えます。

1.9型:人間中心型

組織メンバーへの関心は高いが、業績への関心がない状態

人間関係は良好ですが、業績には固執しません。

部下の顔色を窺い、仕事がなかなか頼めず期限ぎりぎりになってどうしようもなくなってしまうような上司が当てはまります。

いわゆる「人はいいんだけどなぁ」というタイプのリーダーです。

9.1型:仕事中心型

組織メンバーへの関心がなく、業績への関心が高い状態

独裁的なリーダーで、業績への固執が強いです。

イメージ的にはよくブラック企業の上司として出てくるようなタイプが近いでしょうか。

5.5型:中間型(妥協型)

組織メンバーへの関心も、業績への関心もほどほどの状態

人と業績への関心のバランスがコントロールできており、優秀ではあるのですが、高い目標を掲げておらず、良い感じに抑えてしまうようなタイプのリーダーです。

9.9型:チームマネジメント型(理想型)

組織メンバーにも、業績にも最大の関心を示す理想型

もっとも良い結果を出すリーダーとなります。

三隅二不二(みすみ じゅうじ)のPM理論

日本の社会学者、三隅二不二が1966年に提唱した理論です。

リーダーシップは2つの機能要素で構成されるとし、2つの能力の大小によって、4つのタイプに分類しました。

2つの機能

P(Performance):目標達成・課題解決機能

目標達成するために、目標設定や計画、指示などを行う能力

M(Maintenance):集団維持機能

組織を維持、強化するために、人間関係や相互の信頼関係に配慮する能力

4つのタイプ

PM型:目標を明確に示し、成果を上げられるとともに、集団をまとめる力もある理想型

もっとも良い結果を出すリーダーとなります。

Pm型:目標を明確に示し、成果を上げるが、集団をまとめる力が弱いタイプ

成果は上げるが、人望がないリーダーです。

pM型:集団をまとめる力はあるが、成果を上げる力が弱いタイプ

人望はあるが、仕事は今一つというリーダーです。

pm型:成果を上げる力も、集団をまとめる力も弱いタイプ

失格の評価をされるリーダーです。

また、この三角教授は先に出てきた「アイオワ実験」を日本の小学生を対象に実験を行い、同様の結果が得られたことを発表し、人種や国籍、年代による違いがないことで、「アイオワ実験」の結果を補強しました。

まとめ

ここまで、いくつものリーダーシップに関する研究、理論を整理してきました。

これらの理論がリーダーシップに必要だと言っていることが似通っており、共通している点があることが分かります。

組織:人柄や行動により組織内での人望があり、組織をまとめ上げる能力を有していること

業績:高い目標を持ち、それに向けて円滑な運営、管理をしていく能力を有していること

この2つのポイントを高めることが、リーダーシップを発揮できる状態になります。

組織内でのコミュニケーションを図り、問題を把握し解決していく、常に新しい課題に向けて前向きに取り組み、より良い状態へと組織を進めていく。

こういったことがリーダーシップがある状態として、組織内で認められることですから、いつも明るく前向きに、責任感を持って一生懸命仕事をする姿勢がリーダーシップとなると言えるでしょう。

また、自身が弱いと感じる部分を見つめなおして、自分がどういったリーダーなのかを把握することが大事で、もし足りない力、弱い力があれば、強化していくことで、より強いリーダーシップが発揮できます。

その自分の状態を把握するためのイメージを作るために、マネジリアル・グリッドやPM理論といったところを活用してみることで、より改善の方向性を具体的につかむことができるのではないでしょうか?