要因分析の手法(中)

実務・現場
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それではいよいよ要因分析の手法の本題です。

どのように考え、どのように真因に至るのかについてまとめていきます。

分析手法の考え方

幹となる部分

様々な流派があるというお話を先回していますが、そういった中にあっても基本的な考え方として共通している部分があります。

それが、ここでいう幹の部分です。

ある意味、ここが基本中の基本であり、ここさえ押さえていれば大きな間違いなく要因分析は進められるかと思います。

1つ目:なぜは5回繰り返すことにこだわらない

一番間違いの多い部分です。

「5 Whys」などと訳されてしまっていることもあり、5回繰り返すことが正しいことだと勘違いしてしまっている人がとても多いです。

私の会社でも大体8割は5回やるものだと認識していました。

そのうえ、検討に使う帳票も5回分が空欄になっていて、その空欄を埋めて検討するように指示されていたので、嫌でも5回ピッタリで収まるようにやるものだとなっていました。

ですが、問題として認識した箇所が異なれば5回が3回になることも、7回になることもあります。ですから、5回という回数にはこだわらず、真因に辿り着いたところで止めることが大事です。

2つ目:なぜは階層を下げる問いかけ

なぜなぜ繰り返しているけれども、視点を変えたり、抽出した原因の背景や状況を説明しているだけで、原因の深掘りができていないケースが多々あります。

要因分析で必要なのは、なぜ?と考えることで問題の源流、流れを遡っていくことが重要です。

先の記事で紹介した、トヨタ生産方式での事例、「なぜ機械は止まったか?」でも分かるように、なぜを繰り返すごとに対象となる事象が流れるように上流へと遡って行っています。

このようにきれいに上流へと流れを遡っているということは、逆に確認の際に上流から読んでみても話がつながりますから、そうならないということは、上手に原因を遡れていません。

例えば、トレーニングでよく見られた内容ですが、「資料が間違っていた」 → 「確認しなかった」と、いうような分析です。

読むと、”資料が間違っていた”なぜならば”確認しなかった”から

まぁ、つながりますよね。しかし逆から読んで確認をしてみますと、

”確認しなかった”から”資料が間違っていた”となります。

これでもつながっていると感じてしまう人も多いのですが、確認しなかったことが直接的に資料が間違っていることの原因にはならないと気付くことができたでしょうか?

あくまでも、”確認しなかった”ことは、”間違っていることに気付けなかった”ことの1つの要因ではありますが、間違うことの要因にはなりません

このような分析をしてしまうと、確認することが対策になってしまいます。

確認すること自体は悪くないのですが、”間違っていることに気付かなければ、確認をしても間違ったものは流出”してしまいます。

というわけで、せっかくの分析も不十分な対策につながってしまいますから、注意することが大切です。

3つ目:推測で分析しない

問題解決の活動を始めると、複数名でブレインストーミングを行い、検討を進めるケースも多く見られます。

この際、ついつい実際の現場を見ないで、想像で問題はここだろうと、検討を進めてしまうことも多いように思います。

こういった推測が混じると、実際に発生した要因のつながりの中に、一般的な事例が混在することになり、分析の結果にブレやズレが生じやすくなります。

例えば、「いつもは空の台車が置いてある」という事実と並列で、「台車のチェック方法を知らない」⇒「経験不足」のような分析が並んでいるような分析も多くあります。

明らかに”いつも”の状態を知っている人と、”経験不足”の人は違う人ですね。

改善は想像ではなく、現地・現物・現実の三現主義に基づいた事実で行うこと、そして原理・原則に従って理論的に分析することが大切です。

これ、ベテランほど陥りやすい傾向があります。過去、どうやって対処したかというところから、ゴールがすでに頭の中にあるのですね。

そして、その間を埋めるように分析した形に配置していく。

これはもう要因分析になっていませんから、また当然再発します。ムダな時間でしかありませんから、遠回りのように感じるかもしれませんが、きちんと事実に基づいて分析をすることがとても重要です。

4つ目:真因は一つではない

A → B → C → D というような分析をよく見ますが、実際にはBの要因はC以外にもC’があったり、枝分かれをしていきます。

例えば、定量的な問題や工程のように決まった流れがあるところでの問題であれば、原因調査では1本で遡れることもあります。

しかし、定性的な開発業務や複雑な工程であれば、要因は枝分かれするのが普通であり、いくつかの要因が絡み合って問題が発生する場合や、いくつもの要因がそれぞれ問題発生のトリガーとして影響する場合もありますので、それを知っておくことが必要です。

そして、その枝分かれをどう分解していくか、これを層別とも言いますが、グループを分けることで要因を多角的に見極め、掘り下げていく手法を取ります。

層別するための項目をいくつか挙げると

  • 発生と流出
  • ソフトとハード
  • 仕組みと人
  • 4M(Machine・Man・Material・Method)
  • 3C(Customer・Consumer・Corporation)
  • 4P(Product・Price・Place・Promotion)

5つ目:系統図を使う

最後に、なぜなぜ分析は系統図を使うと見やすく、分析を進めやすくなります。

そして、要因を掘り下げながら右へ右へと進み、真因に辿り着いたらそこで止める

いくつか枝分かれした先にある右端の内容が真因であり、それらについての対策を計画し、改善していく要因分析以降の作業につながっていきます。

まとめ

まず、今回は幹部分について取り上げました。

  • なぜは5回にこだわらない
  • なぜは階層を下げる問いかけ
  • 推測で分析しない
  • 真因は一つではない
  • 系統図を使う

これらの内容も実際に取り組んでみると、なかなか難しいと感じられる内容だと思います。

身に着けるためには繰り返しトレーニングするしかありません

大変ですし、最初は時間も掛かりますが、根気よく取り組んでいくことで、各段に再発防止につながる改善が行うことができ、全体工数の削減や費用の削減、会社の信用につながる活動となりますので、がんばってください。

正直これだけでも要因分析は十分に可能ですが、こういうことを知っていると、もっと検討がブレることなく進められるという枝葉の技術は次回まとめようと思います。