私の勤める会社でも毎年教育の一環という位置付けで、QCサークル活動を各部、各グループで行うことを推奨という名の義務で活動が行われています。
ですから、当然よく分かっていない現場からは不満の声も多く、活動自体もやる気のない、その場しのぎの活動になっています。
ですが、QCサークル活動の報告採点者として、社内優秀グループを選出して社長たち取締役への報告会へと進むチームの選出をしてみたところ面白い結果がでました。
この活動が素晴らしいチームが所属する部やグループというのは、課長以上のマネジメントも優秀であることが多く、普段の業務においても中心になって問題解決を進められるところでした。
そこから、ちょっとQCサークル活動を行う上で何がそれほど違うのか調査をしてみました。
QCサークル活動とは?
そもそも現場に活動の主旨が伝わっていないQCサークル活動とは何か?
ここから分からないので、”面倒”や”ムダ”といった声が上がります。
そして、そういった声が上がるチームでは、それなりの成果しか上がることがありませんから、当然やるだけムダという結果になり、次期の活動でもまた同じような声が上がる悪循環に陥ります。
QCサークル活動の定義
職場内で品質管理活動を自発的に行う小グループでの活動であり、QC七つ道具などのQC手法を活用して、職場環境の改善や、業務改善などを主な鵜物で、基本的にはサークルメンバー全員で行うものと定義されています。
そして、ここでいうサークルメンバーというのは、各業務の現場のことを指し、監督者ではなく、作業者や担当者自身が主体的に自らのスキルアップや会社忠誠心から行うようなボトムアップの活動となっています。
海外では?
欧米などでは、どちらかというとトップダウン型の改善を進めるのが主ですから、このようなみんなで進んで会社のために活動しようという考え方をあまりしません。
ボトムアップ型の改善活動であるQCサークル活動は、基本的には日本でのみ行われている手法となっています。
ただ誤解してはいけないのは、QC七つ道具のようなツールは海外でも使います。
特性要因図はフィッシュボーンと海外でも呼ばれることは有名なので、ご存知の方も多いかと思いますが、私が海外で赴任していた企業や顧客でもフィッシュボーンを書いて情報を整理していくような作業は実際に行われていました。
ただ、こういった作業を行ってチームの情報を整理し、方向性を出していくのは、プロジェクトマネージャー(PM)と呼ばれるリーダーなどによって行われることが多く、トップダウンで行われる戦略決定のツールとして使用されることが多いです。
今の時代のQCサークル活動は?
ボトムアップ型で、全員参加、会社への忠誠心など、時間外の活動としてやるべきものだというサークル活動は、今の時代には合っておらず、2000年以降では形を少しずつ変えてきています。
もともとは、日本の高度成長期をけん引してきた貢献度の高い、とても素晴らしい活動でした。
私など、当時子供ながらに”24時間戦えますか?”のCMと、なかなか家にいない父親の姿がマッチして、サラリーマンとはそういうものなんだと思っていましたが、その時代にはこういった活動があったことで、今の日本があるともいえるかもしれません。
しかし、生産性を求めたバブル期も終わり、2000年以降には環境や社会に対して目を向けた状況へと変わってきました。
そのため、大手企業などではQCサークル活動を教育として、就業時間内に行う活動だという位置付けへと形を変えながら、改善手法や技術の承継をしていくようになりました。
しかし、徐々に自発的な意味合いをなくし、嫌々活動をしていた方々がマネジメント層へと移り始めると、活動自体に意味をなさない悪さがサイクルとして回ります。
バブル期をけん引した活動の意味や、基本的な手法などが現場に伝わっていっていないチームがいる部署というのは、こういった悪い状況に陥っていますので、活動はますますムダになります。
根本的な主旨から理解させ、QCサークル活動を通じて会社の改善を行うための基本を身に付けさせるものとすることが大切です。
QCサークル活動を上手にやるには
まず、QCサークル活動がなぜ今も教育の一環として続けられているかというところは理解を頂けたかと思いますが、やり方が分からないという声も多く聞きます。
QCサークル活動を上手にやるには、まず「やることに対する目的を理解」し、「やり方を知る」ことが必要です。
やることに対する目的
これは先ほどの話にありますが、業務の一番近くで対応している担当者や現場が、一番状況を理解していますから、その一番近くで理解している担当者や現場が主体となってボトムアップ型の改善活動を行うことにあります。
トップダウン型で対応する場合には、まずトップが現場から問題を吸い上げることを始めることが必要ですが、ボトムアップ型で自分たちで問題を抽出することを活動のトリガーとすることで、大幅な活動の短縮が可能となります。
また、自らが主体となることに対する権限が委譲されている状況や、チーム全員参加とすることによりモチベーションの向上、コミュニケーションの向上、また身近な自分たちの中から優秀な者を見付け、その者が持つ特性、コンピテンシーの共有など多くのパフォーマンス向上を図るために必要なことが、この活動により推進することができます。
そして、ここで身に付けた手法は、その後の身近な事例の改善活動だけでなく、各個人の業務や会社全体プロジェクトの改善などへの発展も可能となり、会社として大きな力となります。
QCサークル活動のやり方
細かい内容まではとても難しいため、ひとまず活動の流れの中で重要なポイントをまとめていきますが、その際に分かりやすいように、優秀なチームとそうでないチーム(この先、優秀チームと一般チームと表記)で比較しながらまとめたいと思います。
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