
令和3年度の私の再現答案と得点開示結果を公開します。
他の方の再現答案などとも見比べてみて、得点につながるキーワードの抽出などに利用いただけたら幸いです。
事例Ⅰ
得点結果
68点
再現答案
再現答案の精度は9割以上と思います。R2年度のように解答をそのままメモすることはしていませんが、問題用紙の解答骨子を整理したメモからある程度構成できるようになったことと、当日帰宅の電車の中で整理したので記憶も新しく、ほぼ再現できていると思います。
第1問
2代目経営者は、なぜ印刷工場をもたないファブレス化を行ったと考えられるか、100字以内で述べよ。
【解答】
他分野からの新規参入、印刷単価の低下、競合の設備刷新などの外部環境の変化に対し、顧客の細かいニーズへの対応に注力し、高品質、高精度な印刷を必要とする美術印刷分野に絞り、差別化集中での事業展開を図るため。(101字)

「なぜ」って新しいな。
ドメインシフトを行った理由かな。
外部要因の変化で事業がうまくいかなかったのかな?
先に設問文を読んだイメージはこんな感じ。
与件を読んでからの解答骨子では、①既存事業が成り立たなくなってきた外部要因を抽出、②印刷工場を持たないファブレス化で向かう先、③差別化集中戦略の構成、でまとめられるように文字数を整理しました。
第2問
2代目経営者は、なぜA社での経験のなかった3代目にデザイン部門の統括を任せたと考えられるか、100字以内で述べよ。
【解答】
➀3代目の強みである前職の共同プロジェクト参画による人脈が活かせるため。②A社として注力する事業であることを周知、共有して従業員のモラール向上、一体感醸成を図るため。③3代目としての後継者育成のため。(100字)

また「なぜ」か。
R2年度に続いて事業承継っぽいな。
あとは、第1問でドメインシフトしてるし、
方針の共有とか組織活性化の観点かな?
最初、解答には「一体感醸成」ではなく、「生産性向上」と書いてましたが、見直しの時に書き直しました。令和2年度の反省を生かして、再現答案作成用のメモに時間を使わず答案の見直しをしたことで、発見できたので、良かったなと思ってます。
第3問
A社は、現経営者である3代目が、印刷業から広告制作業へと事業ドメインを拡大させていった。これは、同社にどのような利点と欠点をもたらしたと考えられるか、100字以内で述べよ。
【解答】
利点は、高精度な仕上がりが求められる分野における需要を獲得したことによりシナジー効果が得られたこと。欠点は、多数の競合が存在する激しい競争環境で、新規市場の開拓を行う営業力に乏しく受注増加が難しいこと。(101字)

利点と欠点ということは、メリットとデメリットかな。
たぶん与件文にかいてあるんだろうな。
いつものシナジーのないドメイン拡大の多角化で失敗したのかな?
今回は、シナジー効果を得て成功した企業さんでした。
予備校などの模範解答を見ると、利点と欠点で2点ずつあげていたところが多いので、ちょっと点数が伸びなかったかな?と思います。
第4問
2代目経営者は、プロジェクトごとに社内と外部の協力企業とが連携する形で事業を展開してきたが、3代目は、2代目が構築してきた外部企業との関係をいかに発展させていくことが求められるか、中小企業診断士として100字以内で助言せよ。
【解答】
社内だけでなく社外の多様な職種が関わるプロジェクトとなるため、➀プロジェクトの方向性を明確にして共有すること。②貢献意欲の向上につながるコミュニケーションの強化、などで関係性強化、連携強化を図ること。(100字)

問題の意味がよくわからないな。
2代目の時にすでに何かしらの関係が構築されているけど、
何かが足りなかったのかな。
いまいちよく分からなかったので、事例Ⅰ定番の「組織としての成立要件」から書いたのですが、考えているうちに外部企業であることが頭から抜けていました。プロジェクトチームとしてのことばかりを考えていたので、機密漏洩の観点や自社内での技術のブラックボックス化などへの対応が書けておらず、ここも点数は伸びてなさそうです。
過去の成功体験を真似るか、過去の失敗体験の逆をいく感じの問題が過去問にも多く出ていますが、そのような解法が頭から抜けていました。口述試験で改めて問題を読んだときにハッと気が付きましたが、試験中にひらめくためにも過去問での振り返りが少し足らなかったかなと反省です。
第5問
新規事業であるデザイン部門を担う3代目が、印刷業を含めた全社の経営を引き継ぎ、これから事業を存続させていく上での長期的な課題とその解決策について100字以内で述べよ。
【解答】
課題は、➀売り上げ拡大すること。②コスト削減すること。解決策は、➀外部連携先と協力して営業力の強化を図ること。②社員の育成による生産性向上、公平な評価や報酬制度の導入によるモラール向上などである。(98字)

事業を存続していくためには、やっぱり利益が出ないとだめだよな。
そうすると、いつもの「収益=売上-費用」で、売上向上と費用低減の
施策で解答するのかな?
これらを短期目線ではなくて長期目線で行うものか。
売上拡大は、営業力に乏しいことが明示されていたので、そこの改善をすることを第4問に絡めて外部連携先との協力ということで提案しましたが、費用面での問題については書かれてなかったので悩みました。
最終的には、事例Ⅰということもあって、「採用・配置・報酬・育成・評価」の観点での施策を書きたかったので、労働生産性を向上させることでの費用低減効果と長期目線での施策ということで従業員が辞めてしまうと困るということで評価制度の改善によるモラール向上を書くことにしました。
ただ、解答としてコスト削減の解決策(具体的施策)として、評価や報酬制度を挙げるのは少し飛躍しすぎている気がします。おそらく後半部分は得点につながりにくい解答だったと思います。
まとめ
得点開示結果を受けて思ったことは、
- 組織、人事に沿った施策を書くことで大外しはない
- 事業をしていく上で収益を上げることが大事であり、そこを外した考え方は得点が伸びない
方向性としては、理念があってその下にビジョン、外部環境分析と内部環境分析による戦略策定という流れを意識しつつ、収益の維持向上を図るために組織や人事面でどうしていくかが事例Ⅰだと思います。この軸に沿って解答することが大切で、「アウトソーシング」やR2年度の「ルートセールスから直販へ」といった個別の知識に引っ張られて、この理念から戦略へと続く軸が抜けた解答になると点数が伸びないのではないかと思います。
あくまでも事例Ⅰは組織と人事を意識した解答とすることで、安定して合格点が取れるように思います。
おまけ
口述試験時に事例Ⅰ~Ⅲを整理した画像依頼がありましたので、口述試験記事にアップしました。二次試験の勉強法として、振り返りがとても重要です。振り返り方も人それぞれ合う合わないがありますが、こんな方法もあるんだなという気付きになれば幸いです。