中小企業診断士 R2年度事例Ⅲ再現答案編

中小企業診断士
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所長
所長

令和2年度の私の再現答案と得点開示結果を公開します。
一年前に不合格だった自分の解答を見てみて、
どんな気付きがあるか楽しみです。

事例Ⅲ

得点結果

67点

再現答案

再現答案の精度ですが、おバカなことに余った時間で問題用紙に解答をメモして見直しをしなかったので、ほぼ再現できています。過去問を解く際に実際の得点と合わせて参考になればと思います。

第1問

C 社の⒜強みと⒝弱みを、それぞれ 40 字以内で述べよ。

【解答】
(a) ①溶接や研磨の高く特殊加工が行えること。②設計から据付までの一貫体制を持つこと。(40字)
(b) ①チームの技術力に差があること。②最終検査でデザイナーの指示で修整が入ること。(39字)

所長
所長

(a)は再現ミスではなく、実際に解答がこんな変な文章でした。
一発書きして一部だけ消しゴムで消して修正した際に時間がなく
焦っていたためこんな変な日本語になってしまいました。

強みは、経路依存性のある他社が模倣できないものを書くため、事例Ⅲでは毎年高い技術力と設計から製品完成までの一貫生産体制を有している企業が多いです。ただ、これらの情報を与件文から抜き出して書いているため、文字制限で入りきらず、変な修正をしたことで失敗しています。

R2年度事例Ⅰ再現答案編でも書きましたが、与件文抜き出しでは対応できなくなってきていると感じます。R3年度でも事例ⅡではSWOT分析の文字数がさらに短くなっていますし、そういった文章力も試されるようになってきている印象です。

また、弱みについては事例Ⅱに続いて苦手さが全面に出ています。②の内容では、デザイナーとの事前のやり取りで理解不足が生じていることから、最終検査で修正が入ってしまうことを書きたかったはずなのですが、調整力不足が弱みではなく修正が入ることを弱みとしてしまい失敗しています。

第2問

C 社の大きな悩みとなっている納期遅延について、以下の設問に答えよ。

(設問 1 )
C 社の営業部門で生じている⒜問題点と⒝その対応策について、それぞれ 60 字以内で述べよ。

【解答】
(a) 問題は①製作前プロセスに時間を要して製作期間が十分に確保できないこと、②最終検査でデザイナー指示で修整が生じていること。(60字)
(b) 対応策は、多くの業務を行い煩雑な状態にあるため、設計や施工管理の業務を分け、顧客との調整や設計を迅速に行えるようにする。(60字)

所長
所長

この問題パターンが過去問になく、混乱した覚えがあります。
60字制限なので、問題と課題は2つずつ書けるだろうと当たりを
付けて取り組んでいます。

問題で①②と2つあげたので、対応策も①ではこうする、②ではこうすると挙げられるように因果を意識して書けると良かったかなと思います。

この「問題」、「課題」、「対応策」の使い分けがよく分からないという話も多いですが、私の場合は、以下のように考えて解答を構成していました。

  • 問題 : できていないこと。納期遅延や高不良率など
  • 課題 : 問題が生じている現状を打破し、あるべき姿にするための方向性。
         「(納期遅延を解決するために)進捗管理を強化する。」で答える
  • 対応策 : 課題を進めていく上での具体的な施策。
         「(進捗管理を強化するため)生産計画を短サイクルで立案する。」

ここでの注意は、実務をやっている人ほど対応策を深堀りしすぎてしまい、生産計画を短サイクル化するためにどういった仕組みや手法を用いるかまで書いてしまうとNGです。文字数が足りませんし、事例企業の情報が書かれている与件文だけではそこまで細かい対応策を示すことが一概に正解とはなりません。

そのため、深堀りせずに「生産計画を短サイクルで立案する」程度にとどめることが重要です。

(設問 2 )
C 社の製造部門で生じている⒜問題点と⒝その対応策について、それぞれ 60 字以内で述べよ。

【解答】
(a) 問題は①高度な加工技術が必要な製品などで製作期間が超過していること、②設備や作業スペースのレイアウトが悪く、効率性が低い。(60字)
(b) 対応策は、①作業の標準化を進め、教育で技術の共有化を行い、②加工物の大型化に対して、SLPでレイアウト設計を見直す。(60字)

所長
所長

製造部門の問題点と対応策も定番の内容で解答。
技術やノウハウが暗黙知化していることで標準化が遅れており、
レイアウトが悪いことで解答ができました。

事例Ⅲは過去問を整理していくと、大体パターンが決まっています。

生産管理面では「生産計画の立案と生産統制」、製造面では「熟練度の差を標準化してOJT教育すること」や「SLPや5Sでスペース効率や作業性を高めること」などいくつかの切り口しか出てきません。そのため、それらを整理して、この問題が出てきたら、課題はこんな感じで、対応策はこんな感じというのが頭にあると、あとは与件文の内容に合わせて微調整するだけです。

が、与件文の中で情報が章や段落をまたいで飛び飛びで書かれているため理解が難しく、頭の中での整理ができずに解答要素は見つかるが、どの設問で使うキーワードかが分かりにくくなっている印象です。そのため、生産管理面、製造面などの分類整理がきちんとできている人は事例Ⅲが解きやすいのではないかと思います。

第3問

C 社社長は、納期遅延対策として社内の IT 化を考えている。C 社の IT 活用について、中小企業診断士としてどのように助言するか、120 字以内で述べよ。

【解答】
契約情報、設計図や仕様書、製作仕様と納期、製作図や生産計画などの受注情報をDB化し、一元管理を行うことで社内での共有化を図る。また、CAD-NC間での連携や施工企業との連携などの部門間での連携につなげることで、納期遅延の対策を行うことを提案する。(119字)

所長
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H30年度の問題に

「生産管理のコンピュータ化を進めるために、事前に整備しておくべき内容」

という問題があったので、それに引っ張られて前半部分に必要な情報を羅列。

こちらも定番の現場の情報をDB化して一元管理を行い、社内全体での情報共有を図ることというのが、DXを進める上での流れとして白書にも登場しています。R2年度受験時点では、そんなこと頭にもなく、よく過去問で出てくる書き方だからという理由で解いています。

また、3D-CADの利用については、2D-CAD使っているから使えるというものではなく、全くの別物ですし、機材やアカウントはリースとなり年間高額な費用が発生するため、解答に使うことはしませんでした。しかし、ここにひとつ落とし穴があると思います。

与件文の中に投資を控えたいなど、費用がかかることを避ける企業であれば、3D-CADの導入のように費用をかける施策の提案は避けるべきですが、資金が十分にあり費用対効果が十分見込める施策であれば提案することは悪ではないと思うようになりました。

そのため、第4問でも大型モニュメントの生産ができるような工場にすることは、投資以上の利益が見込めるのであれば当然提案していくべきでしょうし、事例企業を見ながら考えるべきことなのかと思います。

第4問

C 社社長は、付加価値の高いモニュメント製品事業の拡大を戦略に位置付けている。モニュメント製品事業の充実、拡大をどのように行うべきか、中小企業診断士として 120 字以内で助言せよ。

【解答】
①作業チームの技術力の差を教育で共有化し、リードタイムの短縮を図り、②加工物の大型化に対応できる設備レイアウトに見直すことで生産能力の拡大を図る。③顧客との調整でニーズの把握の充実と、要望に合う提案を行える営業力の向上を提案する。(115字)

所長
所長

今思うと、①②は一つの文章のなかで区切り、③は別の文章で
構築されているのは2年目ではやらなかったな。

文章構成は置いておいて、内容に関して他の設問解答とかぶってしまっています。どちらの設問に使われるかが分からない場合には両方に書いてしまえば良いと思います。実際それでも67点取れているわけなので、特に問題はないと思います。

ただ、今回の場合は、ここではモニュメント製品事業の充実と拡大を問われていますので、充実させるにはどうする、拡大させるにはどうするといった切り口で解答を構成すべきでした。

まとめ

1年経って振り返って気付いたことは、

  • 問題文に切り口のヒントに従って、素直に解答を構成すべき。
  • 自身の経験やアイデアは殺して、一次知識を応用して事例企業に合った提案をする。

自身の経験を基にした改善アイデアの提案は、自社では通用したかもしれませんが、事例企業ではどうか分かりません。3D-CADの提案のように余計な知識により、この事例企業に合った提案ではない独りよがりな提案になってしまうことに問題があると思います。

診断先企業に合った提案をするのが、診断士としても求められるのでしょう。よく、40歳以上の合格率が低くなるのは、経験が邪魔して提案が曇るという話を当時も聞きました。自分がやってきたことの成功が邪魔をしてしまうこともあるので、グッと抑えて答えることが必要だったなと思います。