中小企業診断士試験の二次試験に合格しました!
周りの人からも相談も受けるようになってきたので、
どうやって勉強してきたかなど整理します。
一次試験の振り返りはこちら↓
二次試験の結果
まず、二次試験の結果から整理しますと、一年目の実際の得点と、予備校の採点サービスの結果は
事例Ⅰ | 事例Ⅱ | 事例Ⅲ | 事例Ⅳ | 総合 | |
実際の得点 | 74 A | 40 C | 67 A | 53 B | 234 B |
手ごたえ | 75 | 55 | 50 | 40 | 220 |
LECさん採点 | B | B | B | D | |
EBAさん採点 | C | C | A | B | |
ふぞろい採点 | 62 | 41 | 55 | 59 | 217 |
二年目の結果は、
事例Ⅰ | 事例Ⅱ | 事例Ⅲ | 事例Ⅳ | 総合 | |
実際の得点 | 68 A | 60 A | 50 B | 70 A | 合格 |
手ごたえ | 50 | 50 | 40 | 60 | 200 |
LECさん採点 | A | C | B | C | |
EBAさん採点 | B | A | B | A | B |
AASさん採点 | C | B | B | B | B |
和泉塾さん採点 | B | B | B | A | B |
試験後の手ごたえとしては、二年目の方が悪かったです。
理由は、予備校の模範解答やTwitter仲間の再現答案を見て、書けていない論点や、設問に対して聞かれたことをきちんと答えていないなどの失敗したところが明確に理解できたためです。
ですが、予備校の採点サービスでは昨年度よりも良かったので、そのギャップに合格発表まで不安で、悩んで、「ダメだった」という気持ちと「もしかしたら」という気持ちが行ったり来たりして、ズーンと沈んでました。
一年目の結果の振り返り
事例Ⅰ
- 予備校の採点サービスに反して高得点
- 事業承継や組織、人事の観点(採用・配置・報酬・育成・評価)がきちんと解答に盛り込めた
- 一部設問の誤解があって、見当違いな解答をしていた
- SECIモデルのことは頭になかった
事例Ⅱ
- 自己採点とかけ離れた得点
- SWOTの切り分け方を理解できていなかった
- アンゾフの成長戦略が書けなかった=一次知識の不足
- 「だなどこ」構文にこだわりすぎたため、設問で問われていること以外に文字数を使いすぎた
- 方向性を聞かれているのに、具体的な施策の提案ばかりのポエム解答をしていた
事例Ⅲ
- 事例Ⅲはいつも書けていないと思っても点数高め、逆に書けたと思うときほど点数は低い
- 与件内で情報が散っており、解答作成に時間が足りず、ギリギリまで対応していた
- 3D-CADの導入はコストやスキル獲得までに時間を要することから書かなかった
- 再現答案を改めて見ると、それなりにキーワードは抑えてあった
事例Ⅳ
- 財務分析で一部有効でない指標を選んだ
- CVPが解けなかった(損益分岐点売上高の計算式のみ書いたので加点はあったかも)
- NPVが1問解けていたのが大きかった
- 負ののれんなどの基礎知識問題が解けなかった
全体的に
二次試験に臨むにあたって、この試験がどのような力を見るための試験なのか、理解が甘かったように思います。二次試験は一次試験での知識の応用力が試されるという中で、一次知識との結びつきが弱かったと反省しています。
その中でも、普段から業務に応用していた範囲である事例Ⅰと事例Ⅲでは60点を超えてきていることからも事例Ⅱと事例Ⅳでそういった力が劣っていたと考えられます。
また、一番の失敗は、再現答案を作ることを意識してしまったことです。
ブログやふぞろいなど、多くの方が自身の再現答案を上げており、予備校の採点サービスを受けるためにも再現答案が必要ということで、すべての設問を解いた後に見直しもせず、自身の解答をメモして再現答案が作れるようにしていたのです。
そのため、時間を無駄に消費し、間違いなどを修正する時間もなくなってしまいました。
みんなどうやって再現答案作ってるんだろ…
一年目と二年目の違い
一年目の勉強方法
- 一次試験の前、1~3月に「全知全ノウ2019版」に少し取り組み、一次合格後から本格的に回した
- 夜に1事例取り組み、通勤時間に診断士ゼミナールの二次講座で復習
- 毎日1事例に取り組み、試験本番までに約100事例を解く
- 採点にふぞろいを利用
- 一次で良かったLECさんの二次ファイナル模試を受講
- 勉強時間は、事例Ⅰ~Ⅲで60~70時間、事例Ⅳで110時間程度
基本的に何をすれば良いかが分からず、ひたすら過去問の事例を解いてました。
おかげで100字などの文字制限については、感覚的に下書きしなくとも100字程度で文章がまとめられるようにはなりましたが、ふぞろいで採点して60点超えていたら”なんとなく満足”してしまい、しっかりと復習はできていませんでした。
模試の結果はこちら
科目 | 得点 | 平均点 | 偏差値 | 判定 |
---|---|---|---|---|
総合 | 156点 | 182.1点 | 42.4 | D |
事例Ⅰ | 49点 | 45.7点 | 52.8 | C |
事例Ⅱ | 41点 | 54.5点 | 39.2 | D |
事例Ⅲ | 32点 | 48.8点 | 35.5 | D |
事例Ⅳ | 34点 | 33.3点 | 50.4 | C |
模試は、一次試験を受けたあと、二次の勉強もままならない時期でしたので、点数が低いのも仕方がないかなとは思っていましたが、合格には程遠い点数だったので焦りはあったと思います。
事例Ⅳは、一次試験の勉強中にも少しやっておいたのが良かったのか、平均点を若干上回る出来でした。多くの方が書かれていますが、事例Ⅳだけはやった分だけ点数が伸びますので、早めに取り組むことが大切だと思います。
二年目の勉強方法
- 社労士の勉強を始めたため、勉強を開始したのは社労士試験(診断士一次と同じ日程)のあと
- 一年目にかなり事例を解いたので内容を覚えてしまっており、5年分を一度だけ取り組み
- ふぞろいの解答で書けなかったものや一次知識との関連を整理
- Twitterで先輩合格者の再現答案を収集して分析←これ重要
- TBCさんの二次速習テキストを購入←これで二次試験に求められてることが腑に落ちた
- 診断士ゼミナールさんの教材は使わず(一年目で頭に入ってるのもあって)
- 2021年の白書を読み、診断士に求められる方向性の確認と一次知識との関連を整理
- 「30日完成!」を購入し、「全知全ノウ2019版」と交互に取り組み、全部解けるまでひたすら繰り返し
- 模試はLECさんと、TACさんを受講(Twitter祭に参加したかった)
- 勉強時間は、事例Ⅰ~Ⅲが30~40時間、事例Ⅳ110時間、一次知識の整理に100時間
模試の結果はこちら
まず、先に受けたLECさんの模試
科目 | 得点 | 平均点 | 偏差値 | 判定 |
---|---|---|---|---|
総合 | 170点 | 198.9点 | 42.2 | D |
事例Ⅰ | 35点 | 39.6点 | 45.6 | D |
事例Ⅱ | 49点 | 53.8点 | 46.3 | C |
事例Ⅲ | 34点 | 50.5点 | 37.1 | D |
事例Ⅳ | 52点 | 55.7点 | 47.9 | B |
このとき、再現答案の精度を保ちつつ、見直しができるようにと一度解答骨子の下書きを作成してから、解答用紙に書き込んでいくという方法を試していました。過去問ではそれなりにできていたのですが、やはり初見問題では私には無理だったようで、結局考える時間が足らないという問題があることが分かりました。
続いて、TACさんの模試
科目 | 得点 | 平均点 | 偏差値 | 判定 |
---|---|---|---|---|
総合 | 172点 | 153.7点 | ||
事例Ⅰ | 54点 | 39.1点 | ||
事例Ⅱ | 32点 | 36.1点 | ||
事例Ⅲ | 33点 | 33.7点 | ||
事例Ⅳ | 53点 | 46.1点 |
こちらでは、LECさんの模試での反省を踏まえて、下書きせずに解答は一発書き。設問整理やキーワードの抽出やメモの仕方は、このときに固めました。
相変わらず、事例Ⅱと事例Ⅲは点数が伸びません。ただ、正直言うと模試の解説見てもあまり納得感がなくて、なんだか自分の書きたい解答と違っているので、解説はさらっとは読みますが、得点結果も含めて全く参考にはしませんでしたし、復習もしていません。
逆に、Twitterやブログ、ふぞろいなどで再現答案を収集して分析に力を入れてました。Twitterやブログでは、多くの方が得点開示結果も公開してくれているので、複数横並びで見ると点数の差、不足している論点の違いなどが見えてきます。また、文章の構成なども自分が好きな書き方が見つかるので、真似するなどして、抜け漏れのない書き方についても学びました。
合格につながったと考えること
作問者の意図を考える
私、事例企業を見て色々な改善アイデアを出すのが好きで、二次の勉強が楽しかったのですが、これが試験で点数を取れない理由だったと思います。
実務では企業の社長さんらと色々と議論や検討を重ねて、様々な改善アイデアを出して吟味して改善活動などへとつなげていくのだと思いますが、これはあくまでも試験であり、こういう場合にはこういった対応、考え方をするのが望ましいといったところを問う試験であるということ。
そして、与件文がどのように作られ、設問がどう構成されているかにも意味があるということなど、TBCさんの二次速習テキストを読んで気が付きました。
あ、これ資格試験じゃん。
やっぱり基本的な解答の方向性はあるよな…
当たり前のことだと思うのですが、あくまでも試験なんですよね。問題の出題要旨が過去の試験でも明示されているように、作問者がどういう意図でこの問題を作ったかの方向性があります。ですが、そんなこと考えずに問題解いてました。そのため、私の解答は設問で聞かれていることと見当違いのことを答えていたり、ポエム化してしまっていたのだと思います。
解き方を決める
80分と短い時間の中での時間配分、文章構成の基本的な形式、キーワードのメモの仕方、下書きせずに解答に一発で書く、などの解き方を9月中旬に定まったことが大きかったです。
また、この9月中旬の時点では、一年目の大きな反省を生かして再現答案を作ることを捨てていました。ですがやっぱり気になってTwitter上でも再現答案ってどうしているかをアンケートしてみましたが、
- 完ぺきな再現答案が作れる下書き派 :11%
- 問題用紙のメモから再構築できる派 :39%
- 問題用紙のメモから再構築できない派 :41%
- 一年目の私と同じで余った時間で写す派 :9%
なかなかおもしろい結果でした。
みんなしっかり再現できているものだと思っていましたが、きちんと再現できるのは約半数。ただ、合格者に再現答案作成者が多いことから、自分の書き方を確立するくらい事例に取り組んだのだと言えるのかもしれませんね。
さらに、R3年度のTwitter利用者の合格率をアンケートされていましたが、結果は驚きの5割超え。そこから考えると、受験者全体で見ると再現答案が構築できるまで自分の書き方を確立できている人はさらに少ないかもしれません。
実際、私も一年目は余った時間で写す派、二年目も最初はメモから再構築できない派でした。しかし、早めに解き方が定まったことで、本番の試験後には問題用紙のメモやマーカーを見て、自身が書いた答案をおおむね再現して書けるようになっていました。
できる限り多くの再現答案を集める
正解が明らかにならない試験です。予備校の模範解答も実際には何点取れるものかも分かりません。そんな中で一番信頼できるのは「得点開示の結果」と「その点数が付いた再現答案」です。
たしかに、再現答案の精度にもばらつきがありますから難しいところはありますが、多くの解答を並べてみると重要な論点とそうでない論点、理解しやすい文章とそうでない文章など、得点につながりやすそうな方向性はつかむことができます。
また、解き方を決めていくにあたっても、自分が気に入る答案を真似ることが一番の近道になります。そのため、再現答案を集めることが重要になってきます。
この再現答案ですが、出てくるのは二次試験の終了時(R3年度だと11月)、得点開示後(R3年度だとおそらく3月)になります。ですから、これから一次試験を受ける方も合格者の再現答案と得点開示結果は収集しておくのがおすすめです。
振り返りが重要
正解がない試験なので、振り返ることがとても難しく、解いたら解きっぱなしになりやすいと思います。私もふぞろいで採点して満足してしまって、振り返りしているつもりでも一年目は十分に振り返れていなかったです。
きちんと、事例企業のSWOT分析をしなおして、弱みの真因を分析する。企業の将来あるべき姿、目標を明確にして、達成するための課題を抽出。強みや機会をどう生かし、脅威を回避していくのかを整理します。そのうえで改めて設問を読み、ふぞろいや先輩合格者の再現答案を見て、適切な論点を洗い出し、自身がなぜ書けなかったのかを振り返ります。
そして、その論点がどの一次知識と紐づくのか、その一次知識は理解できているかといったところへと理解を広げていくことが必要だったと思います。
(私は、試験勉強ではここまでやれてなかったですが…)このあたりのまとめ方は、口述試験前にやってみて良かったです。まとめたシートはこちらの記事に画像で貼ってありますので、参考にしてみてください。
事例Ⅳはひたすら問題を解く
逆に事例Ⅳは、ただひたすら演習です。
私は、「30日完成!」と、「全知全ノウ」を交互にやりましたが、これだけで十分だと思います。財務分析とCVP、知識問題が解けたら70点と思います。NPVは簡単なものなら解けるレベル、難しいものがでたら計算式で多少の加点がもらえれば十分合格レベルと言われています。
そのため、「イケカコ」には手を出さず、この二つの教材だけでした。二年目は過去問も解いてないと思います。(「30日完成!」が完成せず、過去の事例を解いている時間もなかっただけですが)
「30日完成!」は1周して解けない問題だけ繰り返して解けるようにする。全部解けたら「全知全ノウ」をやる。こちらも解けない問題は繰り返し解いて、全部できたら終わり。次にまた「30日完成!」をやる。また解けなくなっているので、解けるまでやる。を繰り返してました。
おおよそ、どちらも5周はやったと思います。
一年目は電車の中で電卓必死に叩いて勉強するのも抵抗があったので、動画視聴だけでしたが、二年目は必死だったこともあり、通勤時間はすべて事例Ⅳの計算に充ててました。
まとめ
整理してみて思ったのが、一年目の勉強が失敗だったなと思っていた半面、一年目に100事例も解いたことで、文字数制限は気にしなくても感覚で100%一発書きしても文字数が収まるようになりましたし、構文的な書き方も自分流のものを作ることができるようになっていたと感じます。
一年目と二年目で勉強のスタイルが全然違ったな…
でも、一年目の勉強があったからよかった面もあったし、
反省点はあるけど無駄ではなかったな…
効率の良い勉強方法は人それぞれです。予備校も合う合わないあると思います。二次試験には正解が分からないという大きな壁があります。その試験を攻略するには、多数の勉強方法や答案を集めて、一番自分にしっくりくるものを見つけることが一番大事かと思います。
その上で、そのやり方を信じて試験までやり切ること。そうすれば、自分の型ができあがります。そして、二次試験は一次試験の知識を応用して事例企業に助言をしていく応用力が試されることを理解し、過去の事例問題を解いたらきちんと振り返りをすることです。
最後に、事例Ⅳ。この科目で合格できる点数を取っている人たちは、やはりそれだけの演習量をこなしています。ストレート、多年度関係なく。また勉強時間が少ない方々は、それ以前に実務を行っているなど経験のある人たちです。やれば点数に結びつきますが、やらなければ点数は上がりません。ひたすら周回して悩むことなく解けるまで繰り返し問題演習してください。
今回は二次試験の全体について振り返ってみました。
各事例で気を付けたことや、整理した情報、口述試験の様子などは、また別途整理したいなと思います。