英語が話せなくても海外赴任先で成功する秘訣(前編)

改善の実例
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「アメリカ人は日本人のように責任感を持って働かない」

「アメリカ人はいつも16時、17時には帰ってしまって残っているのはいつも日本人」

「日本人出向者ががんばっているからなんとか会社が回っている」

「アメリカ人はすぐに辞めるから引き継ぎがうまく出来ずに日本人がやるしかない」

どうでしょうか?

このような声が社内で聞かれていないでしょうか?

最近また海外赴任者が現地スタッフとうまくいっていないとのことで、海外赴任者が現地で成功するために必要なことに対するアドバイスを求められることが増えてきたので整理します。

はじめに

こちらは、主に海外拠点のマネージャークラスとして、組織の管理監督、会社経営に携わる立場での赴任となる方を思い浮かべて書いた記事です。

プレイヤーで通訳を立てられないようなプレイヤーの立場では英語が全くでは業務自体に支障は出ますので、英語はとても大切になります。

ですが、プレイヤーの任務で出向される方にとっても、これから書く内容が理解できていなければ、英語が出来ても現地で十分な成功はできないでしょうし、その後現地でリーダーとしてやっていくことは難しいと思います。

これまで数十人と言う海外赴任者を見てきましたが、これらの感覚がない者に成功者はただの一人もいません。

そして初めに申し上げておくと、私は英語が得意ではなくあまり上手に話すことができません。

聞き流せば話せるというキャッチコピーを信じて、3年超にも及ぶ赴任期間中も聞き流すことに努めましたが、まったく話せるようになりませんでした。

きっとCMに出てた方々は、聞き流す以外にも努力されたんでしょうね…。

話がそれましたが、海外赴任者が現地で上手くいかないのは何も英語が話せないからではありません

英語が話せなくても、海外赴任を成功させることは可能です。

上手くいかないのは誰のせい?

冒頭に書いたような意見が、私の会社にもあります。

そして、まだ出張ベースでサポートに行っていた頃は、私自身同じようなことを思っていました。

でもそれが大きな間違いであり、その考え方が海外現地法人の業績を下げ、現地スタッフが働かない、働く意欲がない、そして、すぐに辞めていってしまう原因のひとつであることに気付くことができました。

それでは、なぜそのような悪化につながるか、大きな要因2つに分けて整理します。

文化の違い

例えばアメリカと日本のお互いの文化への理解は、実態とは意外とずれています

情報化社会で、これだけ他国の情報が入ってくるようになり、行き来があってもまだ相手の国に対する誤解は多く存在します。

これが一番大きな要因だと思います。

例えば、お互いにどういった認識のズレがあるか整理すると、

日本人から見たアメリカ

  • 労働が嫌い(神から与えられた罰)
  • 仕事よりも家庭を大切にする
  • 転職は良いこと
  • 休みが多く、あまり働かない
  • 低コンテクスト(言語化、理論化する)
  • フレンドリーで誰とでも気軽に話す
  • 感情表現が大げさ
  • いつもステーキやハンバーガーを食べている
  • 暴力的、銃社会

アメリカ人から見た日本

  • 働くのが好き(上司に仕える)
  • 家庭よりも仕事を大切にする
  • 長く勤めあげることが良いこと
  • 遅くまでよく働き、休みを取らない
  • 高コンテクスト(言わなくても察する)
  • 奥ゆかしく出しゃばらない
  • 何を考えているか分かりにくい
  • 忍者がいる
  • 平和的、おもてなし

なんとなくこんな感じですが、よく聞くところなのでご存知の方も多いかと思います。

これは事実のほんの一部を切り取って、脚色したニュースや映画、書籍の情報の影響も多分に受けています。

こういった認識のズレが相手の印象をすり替えてしまうところもあります。

それではこういったズレが実際にどう影響するのか整理していきましょう。

向上心は日本人に比べてないの?

実際には、アメリカのほうが祝日は少ないですし、間接部門の残業もなく、与えられた任務の遂行結果で判断されますから、日本のようにダラダラ働いて残業代を稼ごうという意識も少なく、会議なども短く終わらせようという意識も強いです。

そして、どんどんスキルアップして収入を増やしていきたいと思うアメリカ人は、自分に与えられた仕事は早く終わらせてから、他の仕事を手伝って経験を積んだり、勉強に充てたりしながら成長しようとしています

日本以上に成果主義で競争社会ですし、終身雇用でもありませんから、日本人よりも努力し、自分の努力はしっかりとアピールする印象があります。

そのため、転職も多くなっているという背景もありますし、そういった新たなスキルを得ていく過程で収入が上がるという仕組みになっています。

向上心というところでは、日本では年功序列の会社もまだまだ多く、ベテランになるほど危機感を持って働いていないという経営者の声も多くなってきましたし、40代以上の早期退職を募って入れ替えを進める動きも活発になってきました。

そういう意味では日本は後発なのでしょう。

現地での肌感覚でも日本よりも海外のスタッフの方が向上心は強い方が多いと感じます。

理由としては、先にあげたように結果が自分の評価となり、収入に差として現れるからでしょう。

日本がダメ、アメリカがダメなどと言うことではなく、背景として文化や政治、政策など様々な要因が影響していることを客観的に理解することが大切です。

愛社精神って持っているの?

アメリカ人にも、愛社精神をもった社員はたくさんいます

それこそ、チームプレイや地元愛の表現の強さで言ったらアメリカのほうが強いかもしれません。

よく海外の写真や動画、映画などでもバスケットボールやベースボールのTシャツや帽子をかぶったおじさんを見かけませんか?

あのように同じユニフォームを着て、一体感を持って働いたり、何か行うことが好きな文化があります。

日本の職服をアメリカ現地でも着ていたのですが、その姿で近くのガソリンスタンドに立ち寄った際、知らないおじさんたちが、「その服は会社のユニフォームか?」と、聞いてくるくらいユニフォーム好きです。

現地で働くスタッフも、「お金を出してもいいから日本の職服が着たい」と言うので、クリスマスギフトとして日本から取り寄せたこともあります。

日本では、極力着たくないという声が多いですから、愛社精神を表現するという意味ではアメリカ人のほうが強いと思います

ですから、「早く帰る」、「すぐに辞める」ということがそのまま愛社精神が足りないということではないことを理解しなければなりません。

自分から進んで仕事をしない?

基本的には海外はトップダウン型の業務を行います。

日本のQCサークルのようなボトムアップ型の業務をさせたいのであれば、そういった活動を推奨するという指示を出す必要があります

ですが、日本人の監督者は”待ちの姿勢”で、現場から意見や活動が上がってくるのを待っています

当然、待っても待っても現場からはそのような報告は上がりません。

指示をもらってないのですから、「やってはいけないこと」として取り組まないのです。

勝手に現場で考えて失敗した場合に責任を取るのは上司ですから、日本のように「言わなくても分かってよ」と、いう考え方自体を悪いことだと判断するのです

このように活動するきっかけもないので、やることが少ない。

やることが終われば当然帰りますし、あまりにも仕事がなければスキルアップも望めませんから辞めていきます。

監督者は、「やっぱりやる気がないんだ」と評価し、話し合うこともなく日本の本社へ対して、そのように愚痴をこぼし、報告をします。

日本のものづくりは世界一?

トヨタ生産方式など世界的にも評価された素晴らしいものづくりの仕組みが日本にはあります。

そして、本社との連携をとるためにも日本に合わせた仕組みを導入することも少なくありません。

なぜならば、アメリカ人が仕事をしない(と思っている)ので、日本人が仕事をするしかない状況ですが、アメリカのやり方では仕事が回らない(回せない)ですし、日本で成功した自分のやり方で仕事を回そうとするのは当然のことです。

そうすると、会社自体が日本式の仕組みへと染まっていきます。

ですが、その日本式の進め方は、日本では当たり前の常識ですが、アメリカ人には理解しにくい独特の進め方です

アメリカにはアメリカの文化がありますから、自社だけ日本式でもサプライチェーンで見た時には全然機能してません。

結果、アメリカ人の従業員は仕事の仕方が分からず、ますます自分たちでは仕事を進めることが出来なくなっていくのです。

日本式が世界一なのは、日本という土壌に置いての話が前提であって、海外現地ですべて日本式で行おうというのは無理が生じます。

次回、2番目に大きな要因の説明

まずは1番大きな要因として文化の違い、そしてその違いを理解が不足することで発生する悪さについていくつかざっくばらんに書き出してみました。

次回は、もうひとつ大きな要因を書き出して整理していきます。