現場が方針を知らないのはなぜ?

マネジメント
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『上の方針がよく分からない』、『会社がどこに向かっているのか分からない』

こういう言葉は、現場改善を始めると必ず耳にします。

この”上”が指すのが直属の上司なのか、部長なのか、もっと上の役員や会社のことなのか、またこの言葉を担当者が言っているのか係長クラスなのか、課長なのか、部長なのかで問題がどこに眠っているのか当たりを付けることができます。

上位方針を知っていることが重要だということは、誰もが賛成するところだと思うのに、なぜこのように伝わらない状態に陥ってしまうのか、私の経験した事例で紹介していきます。

実例紹介 部長さんの理解が不十分で発生した事例

部長さん
部長さん

所長、BSCって知ってる?

この間の研修で出てきたんだけど。

部門長研修明けの月曜日、部長さんが相談にやってきました。

所長
所長

ん?BSC?

研修ってことは、バランス・スコアカードのBSCですか?

部長さん
部長さん

そうそう、先週末に部門長研修があったんだけど、”現場に上位方針が伝わっていない”から「BSCを理解しなさい」、「リーダーシップをもって部内に会社の方向性を伝えるように」って講義があったんだ。でも、なんだかよく分からなくてね。

いや、BSC自体が重要なことは理解できたのだけれども、実際どうしたら効果があるのかは、ピンと来なくて。

所長
所長

そうなんですね。

理論だけでは、なかなか具体的にどうするかって難しいですよね?

では、講義資料を見せて頂いて、部長さんがやるべきことをまとめましょうか。

上位方針が伝わらない理由は、上位層から下位層への伝達がうまくいかないからです。

今回は、部長さんが役員さんから会社方針が下りてきた際の理解が足りず、下位層への伝達が甘かったことが直接的な原因ですが、根本にはBSCの概念の理解がなかったことが挙げられます。

BSCの概念をきちんと消化するだけでも、だいぶ効果は変わると思いますので、今回その点に注目して対応をしました。

研修によくある事例

研修を受けたり教科書の内容と実務の関連付けができないと、どうすれば良いか、ピンと来ないものです。

研修では基礎知識だけをインプットさせて終わりということが多く、勉強したけれども腑に落ちておらず、時間とともに忘れてしまうことになります。

場合によっては、ワークとして自部門では今後どういったことに取り組みますというところまでまとめて、後日フォロー会が行われるなどもありますが、インプットしたばかりの知識で立てた計画では実行が上手くいかずに、活動が停滞することも多いようです。

研修時間が限られているため、十分なアウトプットをさせていられないというのも理解します。

また、アウトプットを見てもそれぞれの実務を十分に理解していないと、それが良いのかどうかが、講師にも判断ができないので、ワークをやっても受講者の腑に落ちない状況が生まれます。

インプットした知識が、自身の経験などとリンクしない場合、認知したすぐには存在を知覚していても、時間が経つにつれて、知識が離れ小島になってしまい、自由に渡れず、そのうちに忘れ去られる存在となってしまいます。

ですから、ポツンと離れ小島の知識にしないように、頭の中にある実務経験などとの橋渡しをするなどして、陸続きの知識としてあげることがとても重要です。

部長さんの頭の中の整理

今回、部長さんがBSCを研修を通じて初めて知り、重要だということは分かるけれどもそれをどう実務に結び付ければ良いのかが分からない状態でした。

その知識を実務経験や今の状況とリンクさせてあげるために、BSCに出てくる用語と、会社方針や部門方針、みんなに気を付けて欲しいことや達成してほしい成果など、実務の状態を表す言葉を一つずつ置き換えながら、部長さん自身に部員に説明するための情報を整理したものを用意してもらいました。

自身で書き出すことでアウトプットして知識の整理と定着をさせるのが目的ですから、代わりに全部作ってあげたりしないで、忙しくても部長さんが自分でやることがとても大切です。

具体的にはこのようなイメージです。

とても簡単でシンプルなほど伝わりやすいですから、ふわっとした上位方針と自身の立てた部目標のつながり、そして各課に与えている目標や指針など、それらは全てつながっているんだということを明確にするだけのことです。

そして、プレゼン資料として仕上げたのちに、部長さんの言葉で部員へと話をしてもらうことにしました。

こうすることで、リーダーシップも図れますし、ただ資料で展開された上位方針ではなく、部長さんの言葉に置き換わった内容となることで浸透しやすくなります。

まとめ

部員に上位方針が伝わっていなかった原因は、ただ会社方針や部方針を課長さんにメールで転送し、課員さんたちに伝えておくようにと、一言で終えていたからです。

課長さんたちも経営企画部主催の会社方針説明会に参加していたので、理解していると思っていたようですが、実際、課長さんたちもチンプンカンプン。

うまく説明できないので、同じように部長さんのメールを転送しただけで展開完了としていたのでした。

これ、「そんなの当たり前」と、思うと思いますが、結構誰もがついついやってしまっていることなんです。

一緒に説明聞いたから、分かってるだろうと勝手に思い込み、確認もせずにメールで終わらせてしまう、こういった簡単なことほど当たり前に見落としてしまいますから、注意が必要です。

部長さんの件で大切だったことは2点

  1. 簡単な頭の整理が出来ておらず、知識と実務の結び付けが出来ていなかったため、BSCの項目に実務の普段行っていることを並べてマッピングしたこと。
  2. 上位方針をメールで転送して、「上位方針に沿った個人の活動をするように」と、指示を出すのではなく、きちんと自分の言葉で自分でまとめなおした資料で展開したこと。

その後のアンケート

その後、現場に対して実施したアンケートでは、6割が”上位方針の理解が深まった”、”上位方針をある程度理解が深まった”と回答がありました。

目標が明確になると、同じ活動をするにしてもやりやすさは格段に変わります。

期が終わり、評価をするときには、これまでとはまた一つ上の結果につながっているのではないかと、とても楽しみです。