英語が話せなくても海外赴任先で成功する秘訣(後編)

改善の実例
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前編では、海外赴任が失敗してしまう要因として一番大きな”文化の違いに対する理解”によることで起きる悪さについて整理をしてきましたが、今回後編では、二番目に大きな要因となっている赴任者自身の意識について整理をしてきます。

前編の記事はこちら⇩

赴任者自身の意識

文化への理解以外にもう一つ大きな要素が赴任者自身の意識です。

慣れない文化の土地で、日本からは「何やってるんだ」と言われることもあるでしょうし、なかなか成果も出ない間はとても辛い状況になります。

私が赴任していた地域でも、日系企業が十数社あり、日本人赴任者も100人規模でいましたが、どこの会社も同じような状況で、『OKY(お前が きて やってみろ)』という造語があったくらい、日本の親会社から言われる小言に辟易している状況がありました。

そんな辛い状況にあって、どのような立ち位置を意識してそこにいるのか、それによっても周りの環境は大きく変わり、成果に大きく影響する原因となります

現地のスタッフと会話をしてますか?

前回記事の「仕事を与えていない」にも関連しますが、高コンテクストの日本人は、言わなくても察してほしいという考え方をします。

日本人上司の『おい!頼むぞ!』には、『ここまでの仕事を任せるぞ』、『終わったら報告してくれよ』、『ミスに気を付けて注意深くやれよ』など、仕事を頼んだ背景や条件など含めた様々な意味合いがその短い言葉の中に含まれています。

逆にアメリカ人は言わなければ分からないという、低コンテクスト文化を持ちます。

職人技を暗黙知として個人に蓄え、OJTを通じて伝承していく傾向の強い日本人に対して、形式知化して標準化することが得意なアメリカ人の仕事の進め方の違いを理解するためにもお互いの思いや考えを交換し、理解を深めることが必要になります

英語が苦手という方も多く、職場でも日本人だけで固まっていてアメリカ人と会話しないという方もいらっしゃいますが、それではなかなかお互いのことを知ることができません。

何も言葉だけが思いを伝えるツールではありません。

同じ職場で働く者ですから、共通の考え方や認識を持つ部分も多くあります。

ジェスチャーや表情、絵を書いたり、実際にやって見せたり、いくらでもコミュニケーションの方法はありますが、英語が話せないからと格好悪さや引け目を感じていませんか?

英語が話せなくても結果が出ることを知り、前向きに積極的にコミュニケーションを図ることが大切です。

どこの従業員ですか?

日本から一時的に海外に出て、一定期間だけいるのは確かだと思いますし、それは現地スタッフも十分に理解をしていますが、それでは現地スタッフからは十分な信頼は得られません

現地スタッフの信頼がなければ、マネジメントとして不十分だと評価され、協力が得られず、下手をすると利用されていると感じるスタッフも出てくるかもしれません。

実際、辞めていく多くの現地スタッフの話を聞くと、新しい日本人スタッフのマネジメントにがっかりした、信用できないなどの声を多く聞きましたが、詳しく理由を聞くと下記のような回答が多く寄せられました。

  • 日本人だけで集まってコソコソと話をしている
  • 現地スタッフの悪口を言っているのを聞いた
  • 日本への報告では、自分たちだけががんばっていると報告
  • 対応が冷たく、仲間だと思えない
  • 早く帰りたい、この国が嫌だと言う

逆の立場なら、『早く国へ帰れ』と思いますよね?

赴任期間は、その現地の会社の一員であることを強く意識し、そこの従業員の生活を守ることを意識して取り組む姿勢がとても大切です。

日本の指示に反発しろとは言いませんが、現地のためにならないことには毅然とした姿勢で対面し、きちんと現地の従業員の力になるという、一本筋の通った理念を持つことで、信頼を得られ、協力を得られるようになります。

役割ってなんですか?

海外赴任者は現地のマネージャーやディレクターといった監督職に就くことが多いです。

海外におけるマネージャーとは、組織を統括し、指示を出していく監督者です。

日本ではその組織で有能なスペシャリストが課長などのポジションで監督する場合が多いですが、それはリーダーであってマネージャーではありませんから、現地スタッフからもマネージャーなのに管理もしないでプレイヤーしてると評価されます。

また、日本の役職よりも1ランク、2ランク上の役職を任されるケースも多くありますので、教えられたり勉強したり、これまで経験のない役職で赴任することでもこのような状況に陥りやすくなります

そういったところを理解しないで赴任前の研修を行わないことにも問題があります。

逆に、赴任者が帰任を期に会社を去るケースも問題として多くありますが、これも逆のパターンで、現地で死に物狂いでマネジメントを覚えて帰ってきてみたら、またプレイヤーに逆戻り。

これでは、全然自分の学びを活かすことが出来ませんから、新たなステージを求めて辞めてしまいます。

きちんと人事は役職に求められている役割を理解し、それに応じた教育や経験、そしてスキルアップを考えた計画を立てることが必要です。

ちなみに、リーダーシップは大事ですが、マネージャーとリーダーには根本的に求められていることが違いますが、そこは以前の記事でもまとめていますので、参考にしてください。

活動成果は恒久的に現地に残りますか?

赴任者の多くは、日本で実績があり頭一つ周囲から抜きん出た能力を有しているかと思います。

ですから、意外と海外に行ってもこれまでのやり方である一定程度の結果は出せるでしょう。

しかし、あくまでも一人での努力でなんとかなる成果は知れています。

ですが、赴任者がいる間は成果が出ていたとしても、赴任者が日本に帰ったら状態が元に戻ってしまうようでは意味がありません

そのような状態では、常に交代で日本から赴任者がいなければ仕事が回りませんし、事業が拡大するほど、大勢の優秀な人員を送り出す必要がでてきます。

当然、そうなれば日本側が手薄になるなどの問題も出ますから、企業にとって良いことはありません。

海外赴任者は自分がいる間だけの目先の利益だけではなく、その先長い目で見た時に、現地のスタッフが稼ぐ力を持てるように、会社を作り上げることが大切です。

これらの要素が導く結果は?

このように、現地スタッフと出向者との間の協力が得られず、出向者ばかりが頑張っていますという状況は、会社全体にとって、とても不幸な結果へとつながります

赴任者が多く集まるような街では、日系企業の中での集まりなども開かれ、各社の抱える課題についての意見交流なども行ってきました。

業種も様々でしたし、誰もが知る大手企業から中堅企業、中小企業規模の企業もありました。

ですが、どこでも抱える問題は一緒です。

  • 日本人ばかりが苦労している。
  • 出向者が戻ると状態が戻る。
  • 現地スタッフの入れ替わりが激しい。

結果として、生産性が悪く土日も稼働しなければ追いつかないが、現地スタッフを休みなく働かせるわけにはいかず、日本人出向者が毎日仕事をしている。

このように悪循環により、どうしようもなく不幸な状態に陥ってしまうのですが、そうなると、もう立て直す方向性も見付けられないまま足元だけをみて、「ただがんばる」ということにもなりかねず、さらにどんどん悪循環して、成果は落ちていきますから注意が必要です。

どうしても英語や技術といったところに頼りがちですが、日本人が知らない異国の文化の中で短期間に日本と同等以上の成果を出すことなど不可能です。

では、どうすべきか?

これまで書いてきたように、現地のスタッフの信頼を得て、現地のスタッフが気持ちよく働けて、成果が出せる環境を作れるようにすることです

人と人が信頼するのに必要なことが、相手を理解し、相手の立場に立つことです。

些細なことでも状況は簡単に変わります。

言葉や技術ではなく、まずはこれら2点を変えるだけで劇的に成果の方向性が変わるでしょう。

国が違う、肌の色が違うなど関係なく、同じ職場で働く仲間だという意識が大切です。