海外赴任時の住民票と税金について

海外赴任
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身内が近々海外赴任をするということもあり、データ整理をしていましたら、私の海外赴任時の情報をまとめた資料が出てきました。

私の勤める会社でも、海外赴任者が徐々に増える中でのトラブルも多く、人事や総務も知識がなかったことで苦労した点もあったため、社内での情報共有を目的としてメモしておいたものです。

2013年2月~2016年3月までの赴任期間で、行先はアメリカ中東部です。

これらのメモをまとめていたのがおそらく帰任直前~帰任後1年間だったと思いますので、2016年頃の情報だという理解で読んでいただければと思います。

住民票は抜くべき?残すべき?

アメリカ赴任に際して住民票を残すべきか、抜くべきかという議論は、ネット検索をかけると多くの情報がヒットします。

ですが、様々な意見がやり取りされていて、「実際のところ、どうすればいいの?」と、いう相談が私の勤める会社で、これから赴任する方々から多く相談を受けます。

まず、気になるのが「法律上、ルール上、残していってもいいのか?」ですよね。

私も当時不安だったので市役所で確認をしました。

市役所員の回答としては、『市としては、居住の事実が無くなるのであれば抜いて欲しいと言わざるを得ないが、(私の場合3年で、途中一時帰国もすると伝えたところ)一時帰国などで自治体の補助が必要な場合に困るようであれば、入れたままでも構わない』とのことでした。

長期出張と同じという判断に基づくとのことでしたが、これに対しての明確な年数規定がなく、市役所員の方でも判断が分かれるのかもしれません。

一応、会社でも人事の方がこれまでに数度確認したとのことで、情報の共有もしておきましたが、どこの市役所でも『残していって下さいとは、市としては言えませんが』との前置きの上で、各自の状況にある程度任されているという回答が多かったようですね。

できれば明確なルールが欲しい所ですが、曖昧な感じのようですね。

残して行ったことによる罰則もありませんので、不安があるようでしたら残していくということも選択肢のひとつになるかと思います。

税金などの給与控除について

住民税と所得税

まず、前提として所得税や住民税は、多くのサイトで書かれているように『居住者』に納税義務がありますが、この『居住者』の定義については、国税局のHPを参照すると詳しく書かれています。

その内容を要約すると

「居住者」とは、国内に「住所」がある者。

ようするに住民票を有する者になります。

ここを読んで、多くのインターネット上に住民票がある=所得税・住民税が発生するという意見が出ていると推測します。

ですが、国税局HPにはその箇所のあとに、「住所」とは、「各人の生活の本拠」をいい、国内に「生活の本拠」があるかどうかは、客観的事実によって判断すると書かれています。

海外赴任者の場合、住所はあるが生活の本拠は国内に無いわけで、その客観的事実を会社が証明すれば、居住していない⇒住所が無い者としての扱いとなります。

そして、現在まで引き続いて1年以上「居所」がある個人についての記載もありますが、1年以上日本の住所に住んでいないことが、客観的に証明されれば課税されることはありません

1月1日に日本国内に住んでいる場合、その年1年間住民税が請求されますが、その時点に日本国内に住んでいなければ請求されません。

住民税の請求は半年前のものが請求されますので、仮に2020年の1月末に赴任した場合、2021年の7月から住民税が請求されません。

私の場合も赴任2年目の7月から住民税が引かれていなかったことから、会社が勝手に住民票を抜いたりしたのだろうか?と、人事に問い合わせたことがあります。

ですが、人事からの回答も上記の内容にあるように、会社として”この者が日本に居住していないことを客観的に証明する”ことで、住民税の徴収がされていないことの説明がされました

また、稀にサイトを調べていると住民税を抜かなかったために、所得税が抜かれていることが給与明細で分かったというようなものもありました。

これについては、おそらく会社では日本で勤務していた時と同額(同じ算出方法)で所得税額を計算し、給与から差し引いているものと思われます。

私の会社の場合でも、他の企業でもそのように所得税が発生していないにもかかわらず、給与明細には所得税という名目で引かれているところがあります。

この目的は、日本での所得税は発生しませんが、アメリカでの所得税が発生することによります。

アメリカでの所得税はアメリカで発生した収入のみならず、全世界からの収入をまとめて、それに対しての所得税が決まります。

それを赴任者に支払わせると、日本での所得税よりも多くなる(ことが多い)ため、日本での勤務時よりも所得税が余分に取られるという不満を解消するために、これまで通り日本で発生する所得税額と同額を給料から差し引きし、アメリカへの納税は会社側が行うとしているためです。

その際に、給与明細欄には日本にいるときに本来所得税として引かれる名目という意味合いで、そのまま所得税欄を使用している会社もあり、誤解を生むことがあるそうです。

社会保険料

雇用保険や健康保険、厚生年金などがここに含まれますが、この費用は自治体に対して支払われるものではない為、”海外赴任したから無くなります”と、いうものではありません

その為、住民票の有無に関係なく、日本の会社との雇用関係が継続している限りは、これらの社会保険は継続しており、一時帰国時に日本の病院に行けば健康保険が使えますし、年金も変わらず支払われます

※ただし、年金の支給額については、赴任期間中の日本で発生している給与(標準月額報酬)を元に納める金額も変わり、最終的な支給額へも影響しますので、その点は注意が必要です。

アメリカでの在留届への影響

アメリカに居住する際には、日本国領事館の方へ在留届というものを提出します。

これは、赴任者や家族の身に何かあった時や、アメリカでの危険な出来事(例えばテロの発生や、ハリケーンの発生時期の注意喚起、その他相談会などのサービス等)に対してのメール連絡などに使われます。

この在留届を行ったときでも、住民票の有無が問題となって申請出来ない等といったことは発生しませんでした。

住民票を残しておいてよかったこと

私は住民票を抜かないことで対応しましたが、特に困ったことはありませんでしたし、むしろメリットのほうが大きかったかなと思います。

簡単にですが、どのようなメリットがあったかを書いておきます。

帰任時の編入届の手間

赴任時する直前に結婚をしたのですが、その時に住所を帰任後に間借りする予定だった実家の住所にしておくことで、転出や編入の届けをする手間が最小限に抑えられました

ただ、米国で生まれた長男の編入届けなどについては行う必要があります。

一時帰国時に妊娠していたため、母子手帳の受け取りやサービスを受けることができた

母子手帳自体は、日本国領事館への問い合わせをして、受け取ることは可能です。

しかし、住民票がないため市町村のサービスを受けることができるクーポンなどは当然ありませんから、もし妊娠中に帰国してもそれらのサービスは受けられません。

また、市町村によっては、とてもかわいいデザインのものが選べたりしますが、そういったこともできません

私たちの住民票があったところは、育児に関して力を入れていることもあり、手厚いサービスがありました。

海外で出産し、そこで受けたサービスに対しても後日遡って費用を計上することで一部を市が負担してくれるなどのサービスがあり、タイミングも良かったので大きなメリットとなりました。

最後に

冒頭に書いたように明確なルールが無い中での混乱もあります。

また、私の赴任自体が少し前ということ、市町村などにより対応が異なることなどがありますので、あくまでも参考情報のひとつとして受け止め、必ず市町村や勤め先への確認や相談をすることをお勧めします。

他のサイトでもそうですが、自分に当てはまる場合とそうでない場合があります。

これもきっちりと細かく決められた状態にないことや、自治体により差があることが挙げられますから、これ以外の情報についても真偽だけの問題ではなく、当てはまる場合とそうでない場合があるということを理解し、必ず自身で調べることがとても重要になります。

情報に振り回されないように注意して、楽しい海外赴任生活を送っていただけると嬉しいです。